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音楽の中にろう者がいる世界をつくる

「東京文化会館 リラックス・パフォーマンス ~世代、障害をこえて楽しめるコンサート~」
ろうナビゲーター 河合祐三子さん、Sasa/Marieさんインタビュー

リラックス・パフォーマンスの「リラックス relaxed」は“寛容な”という意味。
このコンサートはいつものクラシック音楽コンサートとは少し違って、
少し音をたてても、身体が動いても、大丈夫。
発達障害や自閉症などでホールでの音楽鑑賞に不安がある方も、安心して一緒に音楽を楽しめる公演です。
聴覚に不安のある方向けに、体感音響システムやヒアリングループ、ポータブル字幕機をご用意しています。
また、今回は「ろうナビゲーター」が出演します。出演のお二人にお話を聞きました。

河合祐三子さん、Sasa/Marieさんの画像 リラックスパフォーマンスのチラシの裏から顔をのぞかせている。

音楽の中にろう者がいる世界をつくる

──「ろうナビゲーター」として出演されることになった経緯を教えてください。

Sasa/Marieさん(以下、マリー):
もともと手話通訳がナビゲーターの横に立って、通訳をする想定だったのですが、
私から、そこに ろう者が立つのはどうかと提案させていただいたんです。
東京文化会館さんが「それはいいですね」ということで、認めていただいた経緯があります。

メインはあくまでもナビゲーターの古橋さん(古橋果林:東京文化会館ワークショップ・リーダー)です。古橋さんがお話している内容を、私たちがろう者に伝えるというイメージです。

河合祐三子さん(以下、メアリ):
例えば言葉を聞いたときに、ろうの通訳は、相手のろう者にわかりやすいように、共有の文化をもとにした伝え方ができると思うんです。
またさらに、リラックス・パフォーマンスということで、様々な特性を持っている方がいらっしゃいますが、ろうの子どもたちには、手話で伝える必要があります。
「手話があるんだったら参加したい」という、ろう者もいると思います。

マリー : 
今回、音楽の中にろう者がいる世界をつくる。音楽への入口を作る、ということがとても大きい役割だと思っています。通訳としてろう者がいるというのではなくて、「音楽の世界に、私たちろう者もいるんだよ、大丈夫だよ」という場をつくるということがとても大きいと思っています。

河合祐三子さん、Sasa/Marieさんのツーショット 話を聞いている様子

音楽にはもっと自由な楽しみ方がある

マリー : 
東京文化会館さんでは、ろうの子どもたちを対象にワークショップ(※)を開催されています。もう5年くらいになりますかね。こういったワークショップや今回のリラックス・パフォーマンスをきっかけにして、ろうの子どもたちが音楽を楽しめるということに気づいてもらえるといいなと思います。

※今年度は2024年1月21日に開催する。
東京文化会館ミュージック・ワークショップ in 立川2024「めざせ!おんがく忍者!」
https://www.t-bunka.jp/stage/20542/

メアリ : 
ワークショップでは、聴者の子ども、ろうの子どもが集まって、
みんなと一緒にリズムをつくったり、太鼓を叩いたり、それをやってみる、
そして新しい楽器を発見し、新しい世界に行ってみよう、というストーリーになっています。
ワークショップ・リーダーさんが簡単な手話を取り入れながら進めているプログラムです。
紹介動画に私たちも登場しています。

ろう者も聴者もみんなで楽しめる東京文化会館ミュージック・ワークショップ!

メアリ : 
ワークショップに参加する ろうや難聴の子どもたちは、私たちの方をチラチラ見るんですよね。
そのときに「大丈夫だよ、やってみてね」と目で合図しています。
それで安心して楽器に触ることができる子どもやお母さんがいました。
私から「こっちへどうぞ」「叩いてみて」というふうに、コミュニケーションをとっています。
ワークショップで子どもたちは自由に太鼓を叩いたり、音としてではなくて自然に楽しんでいる。そういう様子もあります。「音楽」には、音を楽しむという言葉にこだわらず、もっと自由な楽しみ方があるんじゃないかなと思うんです。

河合祐三子さん、Sasa/Marieさんのツーショット お互いに手話で話している様子

マリー : 
私は小さいときは難聴で音の記憶が少し残っていて、
ピアノを弾いた経験もありますし、クラシック音楽にもよく馴染んでいました。
大きい響きだと身体に振動が伝わってきますが、今回は大きいホールで、身体だけではなく、空気全体がとても響いてくると思うので、それが心地よいのではないかなと楽しみにしているところです。

指揮者のもっている身体の感覚、緊張感や、演奏者との一瞬のアイコンタクトとか、
身体の中から湧き上がる表現みたいなものを見ていることがとても楽しいですね。
指揮棒を上に上げて、みんなが次の瞬間を身体中で待っているところとか。

メアリ : 
『トムとジェリー』で猫のトムが指揮をする場面を思い出しました!

マリー :
振動で毛が逆立ったり波打ったりする場面がありましたね! 目で見て楽しめるところがたくさんあると思うのでそういうことも伝えたいなというふうに思ってます。

河合祐三子さん、Sasa/Marieさんのツーショット 笑っている

手話通訳:瀬戸口裕子 会場協力:5005

公演概要

Music Program TOKYO Workshop Workshop! コンビビアル・プロジェクト
東京文化会館 リラックス・パフォーマンス ~世代、障害をこえて楽しめるコンサート~
日程 : 2023年11月26日(日)14:00~15:00(13:00開場)休憩なし
会場 : 東京文化会館 大ホール
公式HP : https://www.t-bunka.jp/stage/19195/
あらゆる人が一緒に楽しめるコンサート 東京文化会館《リラックス・パフォーマンス》

ろうナビゲーターによる公演紹介動画

字幕付きの映像で、音声はありません。概要欄にテキスト版を掲載しています。

プロフィール

河合祐三子(かわい・ゆみこ)

北海道札幌市出身。地元の劇団『舞夢』を経て、1988年に社会福祉法人トット基金『日本ろう者劇団』に入団。現在フリーランスの俳優としてさまざまな舞台などに出演。手話教師、ろう通訳者、ろう子どもの演劇ワークショップ、非言語ワークショップなど全国的に活動を広げている。
サインポエム、手話遊び、Dオンガク(ろうリズム)、V V(ビジュアルバーナキュラー)表現などを披露。

Sasa / Marie(ささ・まりー)

サインポエット(Sign Poet)。
身体とことば、音楽などによる五感で感じる空間インスタレーションとポエトリー・リーディングを展開。
東京文化会館ミュージック・ワークショップアクセシビリティアドバイザー。九州大学大学院芸術工学府博士後期課程在学中。ろう者、聴覚障害者の音楽の鑑賞環境等について研究している。

2023年4月に、河合祐三子(メアリ)、Sasa/Marie(マリー)で「てことば・てかなで・てあそびDuoメリマリ」を結成。

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