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ラジオ聞きおこし『カラフルブーケ』#87 映画・映像の世界にもバリアフリーを。

12月10日(日)、文化放送のラジオ番組『カラフルブーケ』にパラブラ代表の山上が出演しました。

『カラフルブーケ』は毎週日曜19時から福井セリナさんをパーソナリティに、「フェムテック」や「LGBTQ+」などのトピックをはじめ、「話し合い」を通じて様々な方面に知見・理解を深めていく番組です。

https://www.joqr.co.jp/qr/program/bq/

今回、「映画のバリアフリー」のお話をメインテーマにとお誘いいただいたのですが、農業やマングローブなど、山上のバックグラウンドについてもたくさんお話してきました。

ぜひみなさんにお楽しみいただきたいと、許可をいただき、ポッドキャストの音声を書きおこしてみました。

ポッドキャストはこちらからお楽しみいただけます!ぜひチェックしてみてください。

https://linktr.ee/colorful_bouquet

福井セリナさんと山上庄子 並んで笑っている写真

カラフルブーケ
#87 映画・映像の世界にもバリアフリーを。

福井/みなさんこんばんは。日曜の夜のお話相手、福井セリナです。最近の近況なんですけど、カラフルブーケのメンバーと、以前ゲストで来ていただいた、keuzesの代表の田中さん、あとスタッフの大花さんと、あとヘラルボニーの朴さんと、あとすーじーさん、「メンヘラは治らねえから活かせ」っつってたすーじーさんにも来ていただいて、みんなで私の家でお寿司会をしたんですよ!すごいご縁じゃないですか?すーじーさんのパートナーさんがお寿司職人さんっていう珍しいあれなんですけど、お寿司を握ってくださるということでわざわざいいネタをもってきて、うちでね、ユリちゃんもね、ディレクターのユリちゃんも一緒にみんなでご飯食べて、私その日のために1週間前から禁酒して(笑)なんかその日を楽しみすぎてマジで。1週間前から禁酒したら、あごにニキビができるっていう(笑)久々に禁酒したらあごにニキビができるぐらい、楽しみにしてたんですけど、本当に楽しくて、こうやってこの番組を通じて、知り合えた方々と一緒にご飯食べたり、食べられたりとか、その後のお仕事の進捗聞けたりして、めちゃくちゃ嬉しかったですね、この「カラフルブーケ」が繋いでくれたご縁なので、すごくありがたく思っています。ハラグチさんも誘ったんですけど、来てくれなかったんですよね(笑)

ハラグチ/呼ばれてないといっても過言ではないです

福井/いやいや言ったからね、誘ったから。

ハラグチ/数日前に。いつから決まったんですか。それだけ教えてください。

福井/もはや覚えてないレベルぐらい前(笑)

ハラグチ/それだけ、いつから決まってて僕に教えてくれたのはいつなのかっていう、そのタイムラグ知りたい。

福井/ねえ細かい!この人細かい!(笑)

ハラグチ/おかしいでしょ、「あ!思い出した!」かのように。「そういえば言ってない、誘ってなかったですよね」くらいの感じで。

福井/いいじゃないですか、でも言ったんですから!

ハラグチ/いったけどそのスケジュールもあるじゃないですか。

福井/でも4日前とかだったっけ(笑)そうだよね。

ハラグチ/いや3日前くらいですよ、3日前か4日前くらいですよ。

福井/実際空いてました?実際。

ハラグチ/実際空いてないですよ。

福井/なんだそっか~。なんかね、ハラグチさんをお招きできなかったから、「新年会だね」って話をしてたんですよね。

ハラグチ/ぜひ次回は。

福井/次回はぜひよろしくお願いします。今日もよろしくお願いします。

ハラグチ/お願いします。

福井/(笑)さて、カラフルブーケでは、性別とか年齢とか職業とか一切関係なく、普段はなかなか話しにくいこと、家族や友達にも相談しにくいこと、世の中に対して思っていることなどなど、リスナーさん一人一人がお話相手となって、なんでもおしゃべりしていきましょうという番組です。そして今日はこの後、大ヒットドラマ『Silent』でもサービスが取り上げられて話題に。映画映像のバリアフリー化に取り組む、Palabra株式会社の代表・山上庄子さんと待ち合わせしております。お楽しみに。

福井/先ほど私は山上さんにバッタリ、エレベーターでお会いをして、思いっきり私間違えて地下に(笑)この文化放送は2階にあるんですけど、思いきり地下に間違えて降りたときに、鉢合わせてしまって。

山上/そうですね、待っちゃいました、「降りられるのかな」って思って(笑)ちょっと見つめ合ってしまいました(笑)

福井/「あっ、す、すいません」とか言って、実は挨拶をする前に山上さんにお会いをしていたという感じなんですけども。今日はよろしくお願いします。

山上/お願いします(笑)

 

マングローブからの、農業からの、映像!?

福井/文化放送、秋田放送、新潟放送をお聞きのみなさんこんばんは。福井セリナがお送りしています「カラフルブーケ」。今夜のお話相手は、映画映像のバリアフリー化に取り組む、Palabra株式会社の代表・山上庄子さんです。よろしくお願いいたします。

山上/お願いします。

福井/では早速、山上さんのプロフィールを簡単にご紹介させていただきます。神奈川県出身の山上さんです。中学生の時から山形県に通って農業に勤しみ、東京農業大学を卒業後、沖縄でマングローブの研究員として7年間にわたって活動されます。その後2011年に東京へ移り、映画映像のバリアフリー化に取り組むPalabraの立ち上げに携わり、字幕制作などを担当。2017年からは代表を務めていらっしゃいます。ということで、私これを見たときに、「え?マングローブからの、農業からの、映像!?」っていう(笑)

山上/(笑)

福井/すごいと思って。すごく気になっちゃったんですけども。まずその中学生のころから、山形県まで通って、農業をされてたということなんですが、これはちょっと、経緯みたいなのを伺ってもいいですかね?

山上/そうですよね、意味不明ですよね(笑)

福井/いやいやいや、気になってしょうがなくて。

山上/はい。生まれも育ちも関東なので、全然実家が農業やってたとかではないんですけれども。

福井/あ、そうなんですね。

山上/たまたまそれこそ、知り合いの方が、山形県の高畠っていう地域が有機農業がすごく盛んな地域で、移り住んでそちらで農業をやっていたので。私は最初その人に会いに行くのが目的で行き始めたんですけど、やっぱその農業というものの魅力にそこで完全に魅せられてしまって、自分で食べるものを全部自分で作れてしまうっていう。その周りの農家さんたちも含めてすごいほんと素敵だなというか、かっこいいなっていうふうに思って、そこへの憧れから自分もそういうふうにできるようになりたいなと思って、会いに行きつつ、夏休みが始まるたびに遊びに行くっていうのを、それがほんと中学生から10年以上。

福井/えーすごい。

山上/学生時代もずーっと通っていたので。お米とかお野菜の作り方なんかを一緒に教えてもらいながら。本当に農家さんからいろんなことを教えていただいた期間だったんですけれども。

福井/すごい。

山上/そんな感じで始まったものでした。

福井/私なんて中学生の時なんて言ったらほんと一般の中学生と一緒で、もう家帰って学校行って友達とワーキャーしてみたいな。そのころから山形県にご自分で通うっていう選択をされてたっていうことですよね。

山上/そんなでも、なんでしょうね、すごい意識を持ってっていうよりは、本当にまあ好きで、行ってた感じですし。

福井/楽しくてってことですよね。

山上/はい。

福井/それこそ私たちが部活を楽しむのと同じように。

山上/本当に。

福井/農業に勤しまれていたっていうことですよね。

山上/はい、そうですね。

福井/これはもうじゃあ夏休みのたびにっていうふうにおっしゃってたと思うんですけど、現場では実際どういう作業をされてたんですかね?

山上/もう本当に、いわゆる農家さんの生活を一緒にやってたみたいな感じなので。

福井/その時って衣食住はどうされるんですか?

山上/その知り合いの方のおうちにずっと泊めてもらいながら、本当に第二の母のような。娘のようにかわいがっていただいた方なので。

福井/すごい、素敵ですね。

山上/朝ごはん食べる前に一回朝仕事みたいな感じで、ちょっと収穫に行ったりして、一緒に朝ごはん作って食べて、またお昼、田んぼやってる時期とかだったら田んぼに行って草取りとかしたりして、またお昼に帰ってみたいな。本当にたぶん普通の、なんていうんでしょう、そういう地域にいる方にとっては普通の生活だと思うんですけど。やっぱ東京にいるとなかなかそういう機会もなかったので、私にとってはすごい楽しい時間だったんですけど。

福井/すごく素敵だなと思うのが、私新潟県出身で。

山上/あっ、そうですね。

福井/それこそ農業がすごい身近にあった暮らしだったんですけど、私自身は全く農業の事に詳しくないですし、家族に農家をやっている人もいなくって、なんか身近にあったのに、すごく今となってはスペシャルなことというか、そういうふうに自然にかえったりとか、ご飯食べる前にひと作業して、おいしく朝ご飯を食べるみたいなのがすごく丁寧な暮らしだなっていうふうに感じて、すごい羨ましく思っちゃいますね。その朝の朝ごはんとか、絶対おいしいですよね。

山上/そう、野菜いっぱい入れてね、お味噌汁作ったりとか(笑)ほんとそんな感じなので(笑)

福井/そうですよね、絶対おいしいですよ、しかも山形のお米とお野菜使って。めちゃくちゃ健康になれそうだなと思うんですけど。その後は農業の大学に行かれたということで、これもやっぱり農業をやっぱり中学生から続けてたのが大きかったんですかね?

山上/そうですね、あの、山形に通ってる時から、農大の学生さんが実習とかで来ている様子も見ていて、「あっ、農業勉強できる大学ってあるんだ」っていうのをそれで知って、自然と「それならちょっと行ってみたいな」と思って、入りました。

福井/ちなみに農業の大学ってどういうことを学ぶんですかね?

山上/私がいたのは、国際農業開発学科っていう学科だったんですけども、割と海外とか途上国の農業とか、あと環境問題、当時けっこうその話が話題になる時期だったんですけれども。けっこう海外の事情も含めた勉強をする学科だったので、私自身もその時にマングローブとも出会って色々勉強するようになったんですけども、海外のフィールドに行くっていう事が、大学生のころから増えてきた感じですね。

 

行動している人がいるんだって思うだけで

福井/なるほど、ありがとうございます。その後に沖縄でマングローブの研究員にっていうふうになってくるので、「どこでマングローブと出会ったんだろう!?」っていうのが。

山上/そうですよね(笑)

福井/私すごく疑問だったんですけど。その農業の大学時代に、マングローブに出会った。

山上/はい、そうですね。大学でもそうですし、それこそそれも中学生とか高校生とかだったと思うんですけど、たまたま読んだ、小説というか本で、「緑の冒険」っていう本があったんですけど。マングローブの植林で砂漠の緑化というか、中東の地域って、なんていうんでしょう、砂漠の地域ではあるんですけど、けっこう海沿いの地域であればマングローブを使うことで緑化ができるんじゃないかっていうことで、植林をしていた方の小説があったんですけれど、それを見てやっぱりなんか農業の時と一緒だったんですけれども、「なんてかっこいいんだ」っていうふうに思って、そこからその方に会いに行ったりとか、マングローブやってる方々の話を聞くようになって、すごい面白い分野だなと思って興味を持ち始めたというのがきっかけです。

福井/そうだったんですね。いやもう山上さんってめちゃくちゃ行動力がある・・・

山上/いや・・・(笑)

福井/いやいや絶対そうだと思います。たぶん私中学生で、じゃあ農業にすごく興味があったとか、例えば東京の何かに興味があったってなっても、そこまで頑張って通おうって思えなかったというか。たぶん一歩踏み出せない子とかも、「いやいや遠いし」みたいな、中学生の身だと思っちゃう子とかもいると思うんですよ。でもそうじゃなくって「好きだから行く」っていうのって、すごいことだと思うんですよね。なのでみんな、見習おう!(笑)

山上/(笑)

福井/でも、行動している人がいるんだって思うだけで、なんか動けたりするじゃないですか。

山上/ほんとでもやっぱりお金もなかったし、それこそほんと青春18きっぷとかで、通ってる感じだったので(笑)

福井/あれをもうフル活用してたんですね!

山上/フル活用して(笑)無い知恵をいっぱい絞って・・・

福井/新潟いるとめっちゃCM流れてくるんですよ、青春18きっぷの。電車の中とかですごいちゃんと書いてあって、詳しく。

山上/そうなんですね。

福井/これ使ったらいろんなところ行けるんだろうなとは思いつつ、あんま使ったことなくて。あれをフル活用してたんですね(笑)

山上/すごい使ってました。

福井/すごい(笑)

山上/もう毎度毎度、休みのたびにほんと使って、楽しいんですけど。

福井/やっぱり安いんですかね?

山上/安い。安いですよね。はい。

福井/いや使えばよかったな。

山上/本当に高畠っていうところまで行くのに、ほんと奇麗に丸一日かかるので、ちょっと途中乗り間違えとかしちゃうと、到着できない。

福井/やばいですねそれ(笑)私みたい、さっきのエレベーターみたいなことやったら終わりですね。

山上/(笑)

福井/気をつけて乗らないと。

山上/はい。

福井/でも丸一日かけて通うっていうのも大変だと思うんですけど、そのマングローブの研究をされてる方たちに会いに行ったりとかお話を聞きに行ったりっていうのから、マングローブにまつわるお仕事をしていこうっていうお気持ちになってきたっていうことですかね?

山上/そうですね、でももうどちらかというとけっこう、大学生の時なので、色々フィールドを持ってる先生方について、最初はフィールドワークに一緒に行かせていただいたりして、その世界をどんどん知っていってっていう感じなので、就職しようっていうよりは、その延長線上の中で、卒業した後も、関わっていきたいなっていうことでやってる中で、いろいろお仕事をいただくようになって、最終的には沖縄にあるNPOの職員っていうことでそこに就職して、7年間仕事してたんですけれども。

福井/そこから山形に通って東京から沖縄に移住してっていうのも結構大変だと思うんですけれども、沖縄での暮らしってどんな感じなんですかね?

山上/そうですね、やっぱり仕事している日々なので、年の半分以上は出張、離島に出張したりとか、植林で海外に出張したりっていう時間が年の半分ぐらいあったので、沖縄本島にいる時間と、そうやって出張してフィールドワークしている時間とっていうのが半々っていう感じでしたね。

福井/わぁそうなんですね。離島に行って、やっぱり沖縄の離島っていうのを想像すると、「あ~いいな~」って(笑)思うんですけど、実際はその植林、暑い中で植林をされている?

山上/海外ではそうですね。そういう仕事が多かったんですけれども、日本国内だと外国人の方の研修、環境教育とか、マングローブの研修のコースをコーディネートしていたりとか。出張は離島でそういう仕事をしていることが多かったんですけど。

福井/ええ。ちなみに私も沖縄に何度も行ったことがあるんですけれど、マングローブのツアーとかもあって、でも見たことないというか、マングローブってどこにあったんだろうって、今回すごく考えていて。実際マングローブって名前もめちゃくちゃ知ってるのに、どういう、なんであの水のところで生きていけるのかとか、知らないと思って。

山上/それが、そうですよね。それが面白いところでも。

福井/すごい不思議に思って。あれはどうしてなんですか(笑)なんでなんだろう冷静にっていう。

山上/普通植物って、塩って絶対ダメなはずなのに、別にマングローブも塩が好きなわけではなくて、そういう海水でも生きられるように、例えば葉っぱ、自分の木の中の古い葉っぱに塩を全部ためて、落として、そのことで塩を排出していくっていうような機能とか。

福井/なにそれ!天才・・・

山上/葉っぱの裏から塩分を出すっていう機能を持ってたりとか。そういう意味ではすごい可能性のある植物というか。その能力ってなかなか植物では特殊な能力なので。

福井/なんか濾過できちゃうみたいな、ことなんですかね?

山上/そうですね。海岸とかで見ている植物はたぶんマングローブだったと思います。

福井/きっとそうですよね。私が沖縄で何気なくいっぱい生い茂っているのを見ていたのが、ほぼ全部マングローブだったという(笑)きっとそうですよね。

山上/たぶんそうだと思います(笑)

福井/すごいなと思って。冷静に、塩を出せるとか、1個の葉っぱにためて落とせるとか、意思があるみたいな、すごいですね。

山上/やっぱり植物って本当、人間よりもはるかに歴史も長いわけですし、すごい…すごいなっていつも思います(笑)

福井/いやーすごい。本当にすごいなと思って、メインは完全にその、山上さんの会社のPalabraの事をお伺いしたいんですけれども、まず「マングローブすげえ」っていう(笑)

山上/そうですよね(笑)

福井/となっちゃって、いやでも聞けて嬉しかったです。マングローブの知識が深まりました。ありがとうございます。この後もお話をまだまだ伺いますが、ここで山上さんからのリクエストをお届けしたいと思います。どんな曲をセレクトしていただいたんでしょうか?

山上/はい。矢野顕子さんの『ひとつだけ』を。

福井/ありがとうございます。この曲はどんな時に聞く曲なんでしょうか?

山上/でも、なんでしょう、昔から好きで。なんかよく部屋でもかけているっていう。

福井/そうなんですね。

山上/いろんな方とコラボしていて、それもまた好きで、いろんなバージョンを聞いています。

福井/ありがとうございます。ではせっかくなので曲紹介をお願いします。

山上/それでは聞いてください。矢野顕子さんで『ひとつだけ』。

 

がむしゃらに突き進んでいく毎日

福井/福井セリナがお届けしていますカラフルブーケ。引き続き映画映像のバリアフリー化に取り組むPalabra株式会社の代表・山上庄子さんとおしゃべりしていきます。よろしくお願いいたします。

山上/お願いします。

福井/それではさらに、山上さんのプロフィールを深掘りさせていただきたいと思うんですが、沖縄でマングローブの研究員として7年間にわたって活動されたのち、2011年に東京へ移り、Palabraの立ち上げに参加ということで、すっごく思い切った(笑)仰天チェンジくらいのあれだと思うんですけど。

山上/そうですね(笑)

福井/映画映像の関係のお仕事するきっかけみたいなのは何だったんですかね?

山上/はい、そうですね、びっくりしますよね(笑)

福井/およ?ってなりますよね、たぶん履歴書きたら、お?ってなりますよね(笑)

山上/もともと、両親が映画の仕事をしていたっていうこともありまして、そういう意味では自分の育ってきた環境自体は、映画のすぐ近くにあって、自分自身もすごい映画が好きで、学生時代、それこそ農大時代は、ミニシアターでずっとアルバイトをしていたりっていうので。あまり自分の中ではすごく大きな変化というよりは、やりたかったもう一つの事みたいな位置づけではあったんですけれども。結構、農業・マングローブってすごいそっちに集中して仕事をしてきていたので、私的にも切り換えとしては大きな切り換えではあったんですけど。

福井/でも実際マングローブのお仕事も、集中してやられていて、じゃあ例えば新しいお仕事、もう一つの夢を叶えるとなっても、タイミングとか迷ったりするじゃないですか。2011年に何があったんですか?

山上/そうですね、東京に帰って来ようというタイミングがあって、マングローブの仕事もすごい楽しかったですし、ライフワークとしてやっていきたいなと思っていたので、未だにそういう意味では、完全にやめているというよりは、色々勉強はしていくっていう感じでいるんですけれども。やっぱ東京に戻ってくるときに、何をしていこうかなというときに、やっぱり映画の事は常に頭にあったので、やりたいなと思ったんですけれど。どちらかというと私自身は映画を作る側になるというよりは、鑑賞者としてずっと好きだった部分でもあり、映画館でもあったので、その時に当時けっこうテレビの方で字幕や音声ガイドが少しずつ付くような時期だったんですけれども、そこにやっぱり関わっていくっていう。字幕・音声ガイドってやっぱりすごい大事な要素だと思ったんですね。それによってどうやってその作品がその人に伝わっていくかが変わってくる、すごい大事な部分なんだけれども、それをやっぱり作る専門性みたいなところってまだまだこれからかなっていうところだったので、そこにすごくいろんな面白さを感じて、興味を持ち始めたっていうのが最初の関わりですね。

福井/ありがとうございます。そののち2017年にはその代表に就任されたということで、そのまた転職してそこからさらに代表に就任ってなると、プレッシャーみたいなのもあるんじゃないかなというふうに思ったんですけれども、当時の心境みたいなのは覚えていらっしゃいますか?

山上/はい、プレッシャー、そうですね。なんかもう、なんていうんでしょうね、けっこうやっぱり、もうほんとに今のスタッフたちともそうなんですけれども、日々試行錯誤しながら、みたいな感じなので、それはすごく明確なモデルが先にあるわけではなくて、自分たちでやっていきながら、「もっとこうであるべきだよね」とか、「こういう方向にしていきたいね」っていうのを、積み上げていってるような作業だったので、プレッシャーも確かにすごくありますし、やっぱり会社にしているので会社として成り立たせていかなきゃっていうのもあったんですけれども、どちらかというと日々ほんとに必死に走っているような状況でもあったので。

福井/目の前の事をクリアしていくみたいな感じですかね。

山上/そうですね。本当にそっちの事の方が、常に頭はいっぱいだったなというところがありますね。

福井/なんかリアルだなっていうのがすごく感じるんですけど(笑)いろんな経営をされている方とかがこの番組に来てくださるんですけど、起業って、何も知らないと華やかな風に聞こえるけど、本当にがむしゃらに突き進んでいく毎日なんだなっていうのを、私もたくさん教えていただいていて、勇気を貰えるというか(笑)毎回勉強になっているんですけれど、改めてPalabraがどんな会社なのか、会社のコンセプトなどを教えていただけますか?

山上/はい。先ほども出てきた通り、映画を見るってなったときに、例えば視覚障害の方とか聴覚障害の方ってそのまんまだと音だけ聞いているのか映像だけ見ているのかっていう状態になってしまうと思うんですけど、そこに付けるバリアフリー字幕や音声ガイドっていうものがありまして、それを作る専門の会社として立ち上がりました。私ももともと映画が好きですし、うちのスタッフも割と映画出身のスタッフが多いんですけれど、映画だけではなくて演劇とか音楽イベントとか、本当にあらゆる文化芸術分野をいろんな方に届けるために必要な「鑑賞サポート」っていう言い方をするんですけれども、それを専門にしている会社になります。

福井/ありがとうございます。このPalabraというお名前は、何かコンセプトがあったり、由来みたいなものがあるんですかね?

山上/Palabraはスペイン語で「言葉」という意味で、やっぱり人と人をつないだりとか、作品と人を繋いでいくっていうときの、「言葉」の一つとして、字幕や音声ガイドも扱っていきたいなっていうことで、この名前になりました。

福井/すごく素敵な由来だと思います。お伺いした話だと、その昨年大ヒットしたドラマの『Silent』でも取り上げられたということで、あの『Silent』は私はもう毎週、爆泣き(笑)本当にもうあんなにヒットしたドラマって、もうここ最近ないんじゃないかぐらい。

山上/もうすごかったですね。

福井/ものすごくヒットをしていた中で取り上げられてたっていうのを聞いて、結構大興奮しちゃったんですけど、それは何か経緯みたいなのはあったんですか?

山上/そうですね。『Silent』の制作スタッフの方からご相談いただいてっていうことではあったんですけれども、やっぱりその背景としては、主人公が耳が聞こえなくてっていうときに、映画館に行って映画を見ようと思うときに、字幕がついてないと見れないってなると、邦画って基本的に字幕ついてないと思うので。

福井/そうですよね。

山上/選択の幅がすごく限られてしまうっていうところで。そういうシーンだったんですけれども。そのときに、私たちも長年やってくる中で、字幕・音声ガイドを作るだけじゃなくて、それを提供するようなアプリケーションとか情報発信っていうのをやっていまして、そのUDCastっていうのを番組の中でも取り上げてくださっていて、それで作品を、見れる作品を探すみたいなシーンだったと思うんですけれども。はい、それで出てきてましたね。

福井/いやもう本当すごいなと思って、何か反響みたいなのってあります?

山上/そうですね、やっぱり周りの方々から、「出てたよね」「出てたよ」って(笑)

福井/そうですよね。絶対そうなりますよね(笑)

山上/すごいなるし、一方でやっぱり改めて、映画のバリアフリー化ってやっぱまだ、あんまり進んでない。シーンとしてもやっぱり、「見れる作品が限られてるね」っていうところでもあるので、その現実を知ってくださるきっかけにはすごくなっているなっていうふうには思います。

福井/でもそのサイトを使えば、例えば、想・紬みたいなカップルがいたとしても、2人で見れる映画が選べるっていうことですよね。

山上/そうですね。そうなんですけどやっぱり今、年間、日本国内だと1200本前後、映画って公開されてると思うんですけれども、その大体半分ぐらいが邦画で、半分ぐらいが洋画と思ったときに、600本のうちのバリアフリー化されてるのは100本ちょっとっていうところだと思うので、まだまだ、なんていうんでしょう、本当にそもそも付けられている作品自体が限られてしまってるっていうのはありますね。

福井/そうですよね。あんまり意識をしてこなかったですけど確かに海外の映画だったら字幕付きのやつをいつも私は見るんですけど、邦画で付いてるものって、見たことなかった。逆に見たことなかったと思って、ハッと気づかされたことだったんですけど。なんか、これから広がっていく、広がりが増えていっているのか、もちろん広がるために活動されてると思うんですけど、どういう状況に今はなってるんですかね?

山上/そうですね、本当にまだまだこれからっていうところですし、洋画なんかはまだ全然付いていない、字幕も音声ガイドもまだ。字幕は普通の翻訳字幕は付いていると思うんですけれども、音声ガイドなんかはほとんどまだ付いていない状況なので、やっぱ付けていかなきゃなっていうところでもありますが。一応、障害者差別解消法っていう法律の改正があって、社会としてもそういうものをちゃんと付けていきましょうという方向には進んでるとは思いますが、やっぱり時間かかるなと思いながらやってます。

福井/そうなんですね。実際に付いている映画もあるっていうことで、付けるときって、どういうやり取りで進んでいくんですか?

 

空気のような存在でありたい

山上/そうですね。やっぱり映画が完成したところから私たちの仕事がスタートするので、だいたい映画完成から劇場公開までの間に作業をしてることが多いんですけれども。時間でいうと、急ぐときは1ヶ月弱でやることもあれば。

福井/わぁ、少ない、時間が。

山上/できれば1ヶ月半から2ヶ月ぐらい欲しいなというところではあるんですけれども(笑)

福井/だって映画ってだいたい2時間ぐらいあって。

山上/そうですね。

福井/それを全部で音声の、っていうふうになると、すごい時間かかりそうですね。

山上/そうですね(笑)で、完成した映像とか台本ですとか、作品のヒントになるというか、情報はできる限り色々集めた上で、制作に取り掛かるんですけれども、字幕も音声ガイドもまずは初稿といって、ある程度原稿を制作者たちが書いていって。で、必ず私たちがやってるのが、途中でモニター検討会っていうのを挟んでから最後仕上げていくんですけれども、そのモニター検討会のときには、字幕であれば聴覚障害の当事者の方ですし、音声ガイドであれば視覚障害の当事者と、それから映画の監督やプロデューサーもお呼びして、皆さん一緒にプレビューをしていきながら、最終的な中身のブラッシュアップをしていくっていう工程を踏んで、完成させていきます。

福井/なんか地道な作業になってくるとは思うんですけど、それこそ音の字幕だったりとかって、人によって例えばその擬音の受け取り方とか違ったりとかもするじゃないですか。すごく難しそうだなって思うんですけど、どうなんですかね。

山上/もうまさに、やっぱり聴覚障害って一言で言っても本当に皆さん多様なので、100人いれば多分100通りのアイデアが出てくると思いますし、好きな字幕っていうのも違ってくると思うんですけれども、その中で大きく例えば字幕で言うと、中途失聴・難聴者の方と、ろう者、生まれつき聞こえないろう者の方ですと、やっぱり第1言語が違う。手話なのか日本語なのかっていうところもありますし、聞いた経験があるかどうかでも、例えば、「犬の鳴き声」って書くのか「ワンワン」って書くのかっていうところで、そのぐらいだったら漫画とかで皆さんわかると。経験的に知ってたりすると思うんですけれども、例えば「ドンドン」って書かれたときに、それがドアを叩く音の「ドンドン」だったのか、足を踏み鳴らしたときの「ドンドン」なのかは、それだけだとわからない。けれどもやっぱ聞いてる人たち、聴者にとってはそれは経験的にその音でわかったりすると思うので、そこのユーザー側の背景をいろいろ理解した上で、ここではこういう入れ方だとより多くの人にとってわかりやすいんじゃないか、みたいなことを一個一個検討していくんですけども。

福井/繊細な作業ですね。

山上/そうですね。でも最終的には、映画の制作側がどういう意図でそこのシーン作ってるのかっていう、そこの背景がすごい大事になってくるので、やっぱり最後の決断のところでは制作側の意見をきちんと伺いながら最後決めていくっていうような。

福井/いやぁ、何かそれこそ『silent』の中でも、元々生まれつき耳が聞こえないろう者の方と、途中で聞こえなくなった想くんみたいなタイプで、なんか「違うんだ」みたいな。ここで対立するシーンがあったりするじゃないですか。やっぱり当事者じゃないので完全に気持ちがわからなかった部分はあるんですけど、そういう部分なんですね。感じ方が違ってくるっていうところで、そういうところでも違いが出てくるんだって思うと、汲み取るのは難しいというか、工夫しなきゃいけない部分だなっていうのを感じますよね。

山上/そうですね、やっぱり映画を皆さん見に来ているので、字幕を読ませるための字幕ではなくって、本当に空気のような存在になりたいので、決まった尺の中で端的に、でも何か前に出過ぎないものを作っていくみたいな。

福井/それはすごい、めちゃくちゃ繊細です。

山上/でもなんか、面白いですしね。映画好きな人にとっては本当にたまらない仕事だなっていつも思うんですけれども。すごくやっぱり映画って丁寧に作られているので、それを、作り手の思いが垣間見えてくるみたいなところなんかは、すごく面白い部分だと思いますし。
福井/かっこいいですね。いや面白い。その裏側が聞けて。私もけっこう映画が好きなので、ちょっと楽しい気持ちというか、興奮しちゃうんですけど。素敵だと思います。ありがとうございます。この後もまだまだお話伺いますが、その前に1曲お送りさせていただきます。いきものがかりさんで『声』。

 

お礼を言わせたくてやってるというよりは

福井/文化放送・秋田放送・新潟放送をお聞きの皆さんの週末にちょっとした彩りを、福井セリナがお届けしています、カラフルブーケ。引き続き映画映像のバリアフリー化に取り組むPalabra株式会社の代表・山上庄子さんとお喋りしていきます。よろしくお願いいたします。

山上/お願いします。

福井/2011年からPalabraの立ち上げに携わり、2017年には代表に就任。10年以上にわたり映画映像という視点からバリアフリーの問題に携わってこられた山上さんなんですが、このお仕事をしていて、良かったなとか嬉しいなとか思う瞬間みたいなのって、あったりしましたか?

山上/(笑)そうですね、そもそもやっぱりすごい映画が好きなので、いろんな作品に出会えるのは何よりも。

福井/いやそれ、だって公開前ってことですもんね。

山上/そうですね(笑)そういうことですね(笑)

福井/そうですよね!それはちょっと、それいいですよね(笑)

山上/その特権もありましたね(笑)

福井/これめっちゃいいですよね。もうなんか、私だったらめっちゃネタバレしちゃいそう(笑)「あれさ、これでさ!」みたいな(笑)

山上/そうですね。でもそれもすごい嬉しいですし、やっぱりユーザーの方がいたり、映画の作り手の方がいたりっていう方々と日々出会っていくんですけれども、皆さんやっていく中ですごい感じるのは、監督・プロデューサーも参加、モニター会なんかに来ていただくと、やっぱり1人でも多くの方に自分の映画を見て欲しいと思って作ってらっしゃる方々なので、やっぱり目の前で一緒に「あ、字幕・音声ガイドつけることでほんとにこうやっていろんな人たちに見てもらえるんだ」っていうことを知っていただくことで、「必ず自分の作品に付けていきたいと思います」とか、そういった声をいただけると、やっぱりそうやって社会って変わっていくんだなというふうにも思うので。嬉しい瞬間でもありますし、もちろんユーザーさんの方々から、「付けてくれてありがとうございます」みたいなことを言ってくださることもあるんですけれども、それこそお礼を言わせたくてやってるというよりは、当たり前にしていきたいなっていうことの方が強いので、見終わった後に普通に一緒に感想を話せたりするっていうような時間が取れるときなんかは、すごく嬉しい瞬間。

福井/素敵ですね。そうやって今まで見れてなかった、見ても何を言ってるかわからなかった映画の内容がわかる瞬間って、絶対嬉しいだろうなっていうのをすごく想像できますし、どんどん広がっていってほしいなというふうに思うですけど、これまでお仕事されてきた中で忘れられない出来事だったり、印象に残ってることってありますか?

山上/そうですね、なんだろう(笑)

福井/日々チャレンジをしていくっていう、お忙しい中でだと思うので、難しいと思うんですけど。例えば私はめちゃくちゃミーハーなので、例えば自分が好きな映画の監督さんとか、是枝さんとかに出会えたら「はぁーーー!」ってなっちゃいそうなんですけど(笑)そういう好きな監督さんとの出会いみたいなのって。

山上/そうですね、好きな監督さんたくさんいらっしゃいますけれども。やっぱり何かご一緒させていただいていく中で、結構バリアフリーの制作ってすごい、ある意味で専門的なものだと思われてしまって、「おまかせします」みたいなことが。最初そういうふうに言われてしまうことも多いんですけれども。やっぱり蓋を開けてみると、すごく作品の内容に触れていく部分でもあるので、制作側が、自分の映画制作の延長線上の仕事というふうに捉えてくださって、もう当たり前のこととして、一緒に制作に立ち会ってくださるっていうような場面が来ると、すごくよかったなというか。やっぱ「こうであってほしいな」っていうところがすごい現実になっていってるっていう実感をもてるので、そういうときはすごい嬉しいですね。

福井/めちゃくちゃかっこいいと思います。これからどんどん広がっていくであろう、というか広がっていってほしい分野だと思うんですけど、このバリアフリー化っていうのが、どれくらいで進み始めたとか、それこそテレビ業界が付けるようになったきっかけみたいなのって、多分何かきっかけがないと動けないじゃないですか。何がきっかけで進み始めたんですかね?

山上/やっぱり法の整備っていうのがすごい大きかったと思うんですけれども。テレビはもっと前の段階から、総務省さんの方から付与率っていうのを言われるようになって、付くようになってきたと思うんですけれども。映画はやっぱり一番大きかったのは2016年にできた、障害者差別解消法っていう法律ができて、そこからやっぱり映画業界が少しずつ動き始めたきっかけにもなりまして。それが改正になって、来年の4月には合理的配慮の義務化。改正がありまして、行政だけだったところが、民間に対しても義務化が決まったので、ますますそこをしっかりとやっていきましょうっていうような流れにはなってきてると思いますが。やっぱり現実的には予算がかかることだったりとか、制作期間っていう時間の問題だったりとか、いろんな課題はまだまだある状態なので、先は長いなというふうに思いながらも。でもやっぱり着々と進んできてる部分ではあると思います。

福井/やっぱり山上さんが携わっていく中で、どんどん進んできてはいると思うんですけど、今から解決していきたい課題とか、まだまだここが足りないなみたいな部分とかってありますか?

山上/そうですね。やっぱり今はどうしても「字幕・音声ガイド付いてる作品あるかな」っていう探し方を皆さんしていただいてる状態なんですけれども、本来であれば、私たちと同じように、ふと「あれ行きたいな」と思ったときに当たり前についているっていうところを目指したいなというところなので。ですけれども、映画の分野で言いますと、どうしても今、邦画が中心に進んできているんですけれども、洋画自体のバリアフリー化っていうのがまだまだこれからというところなので、そこはいろんな当事者の方からのリクエストも多いんですけれども。実現していきたいなというところですね。

福井/また難しいですね、その海外の映画の音の表現とか、また日本語とも変わってきそうですし、そこのニュアンスとかってどういうふうに汲んでいくものなんですかね?

山上/そうですね、海外の作品の場合は、字幕・音声ガイドを作る考え方としては、基本は同じなんですけれども。ただやっぱり洋画の場合は、日本って圧倒的な字幕文化で、公開する映画のほとんどが字幕上映だと思います。一部、アニメーションとかを含めて、吹き替え版があると思うんですけれども、本数としては大部分が字幕版なので、そうすると、視覚障害の方にとっては音声ガイドがつく以前の問題として、本編のセリフが、字幕が読めないので受け取ることができないってなってしまう。

福井/そうですよね。

山上/吹替版か、「ボイスオーバー」という言い方をするんですけども、字幕読み上げのような形で、まずは本編の内容、セリフの内容を聞こえる状況にしていくっていうことをしてから、初めてようやく音声ガイドの制作に取りかかれるっていう、ちょっと道のりが1個増えてしまうんですけれども。

福井/そうですね。

山上/そこがやっぱりどうしてもハードルになってしまっていて、まだまだ対応作品が出てきてない状況ですね。

福井/もう映画って、小さい頃からたくさん映画を見て、多分自分の価値観にもすごく影響受けてるような気がするので、何かそのチャンスがぜひ増えてほしいなというふうに、私も強く思います。めちゃくちゃ応援してます。

山上/ありがとうございます(笑)

 

文化芸術こそ、本当に誰に対しても開かれるものであって欲しい

福井/今後、Palabraの代表として、目標などはありますか?

山上/そうですね、まさに今お伝えした通りで、限られたものから付いてるものを探すっていうところではなくって、本当に映画に限らずですけれども、文化芸術分野っていうところで、自由に自分が好きな作品を好きなタイミングで好きな人と見れるっていうような、社会にしていけたらなっていうところがPalabraのミッションでもあり、私達が日々向き合っている課題でもあるっていうところですね。

福井/ありがとうございます。たくさんお話をお伺いして、映画のお話ですごくわくわくした部分もあるんですが、残念ながらそろそろお別れの時間となってしまいました。最後に今日山上さんがリスナーの方々に届けたい一言を花言葉にして番組で素敵な花言葉のブーケを作りたいんですが、山上さんからお言葉いただいてもよろしいでしょうか。

山上/はい。会社でもよく、スタッフのみんなと話すことなんですけれども、やっぱり文化芸術こそ、本当に誰に対しても開かれるものであって欲しいなっていうところが、やっているベースの部分でもあるので、やっぱりそういうことですかね(笑)

福井/まったく問題ないです(笑)これが当たり前になって、みんなが同じく、カフェの中で、「あのシーンよかったよね」とか言い合えるようになったら素敵ですよね。

山上/そうですね、今はどうしても、「付いててよかったね」みたいな、「字幕・音声ガイドあってよかったね」みたいな、鑑賞サポートに関する評価みたいな感じになっちゃうんですけども、なんかそれよりも、それを飛び越えて、普通に感想を言い合えるっていうのは、当たり前になってほしいなと思いますね。

福井/ありがとうございます。山上さんがいただいた花言葉はしっかりと、カラフルブーケに束ねていきます。そしてお知らせなどはございますでしょうか?

山上/はい、ありがとうございます。私達は字幕・音声ガイドの制作を専門にしてきた会社ではあるんですけれども、やっぱりそれを作るだけでは、なかなか本当に必要としてる方々に届かないなということで、「UDCast」というサイトというか、場を運営していまして、ちょっと『Silent』でも出てきた字幕や音声ガイドを提供するアプリケーションの開発運営というところももちろんなんですけれども、そういった、どんな作品に字幕・音声ガイドがついてるかなっていう作品の情報を掲載していたりとか、あと字幕ユーザーとか音声ガイドユーザーの皆さんが交流できるようなコミュニティの運営をしていたりとか。最近ここ数年は相談窓口の運営もしていまして、文化芸術の鑑賞サポートに関する困りごとなんかを受け付けている窓口になりますので、ぜひ本当にちょっとしたことでも、困りごとがありましたら、気軽に、文字ベースでも電話ベースでも大丈夫ですので、お問い合わせいただければと思います。

福井/ありがとうございます。例えばその映画を観て、ここがちょっと見にくかったとか、もっとこういうのをつけてほしいとか、そういうちょっとしたことでもいいんですかね。

山上/そういうのも本当に大歓迎ですし、やっぱり今社会そのものがきちんとバリアフリー対応をされてるわけではないっていう中にあって、そういう声をちゃんと集めていくっていうことも一つの目的にしていますので、ぜひぜひお寄せいただければと思います。

福井/ありがとうございます。というわけで山上さん、今日はありがとうございました。

山上/ありがとうございました。

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