公開日
2016年11月12日(土)
上映館
作品概要
作品詳細
CAST STAFF
のん
細谷佳正
稲葉菜月
尾身美詞
小野大輔
潘めぐみ
岩井七世
牛山茂
新谷真弓
澁谷天外(特別出演)
原作:こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社刊)
企画:丸山正雄
監督補・画面構成:浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
美術監督:林孝輔
音楽:コトリンゴ
プロデューサー:真木太郎
監督・脚本:片渕須直
製作統括:GENCO
アニメーション制作:MAPPA
INTRODUCTION
日本が戦争の中にあったころ。軍港の街・呉にお嫁にやって来た18歳の娘・すずさんは、見知らぬ土地で健気に毎日の生活を紡いでいく。戦火にさらされ大切なものを失っても、前を向き生活を続けるすずさんの日々を描く。
女優のん、すずさんに息を吹き込む。
主人公すずさんを演じるのは本作でアニメ映画初主演を果たす、女優・のん。やさしく、柔らかく、どこか懐かしい親しみを感じさせる声ですずさんに生命を吹き込んだ。少しぼーっとしたところのある、健気でかわいらしいすずさんはまさにイメージ通り。監督の片渕も「のんさんの声をマイクを通して聞いた時、何年も前から想像してきた声が、すずさんとなって現れた。のんさん以外のすずさんは考えられないと確信した」と絶賛。のんの声を得て、柔らかく息づき始めたすずさんに注目してほしい。
また周囲の人物たちの声を細谷佳正(北條周作役)、稲葉菜月(黒村晴美役)、尾身美詞(黒村径子役)、小野大輔(水原哲役)、潘めぐみ(浦野すみ役)、岩井七世(白木リン役)、牛山茂(北條円太郎役)、新谷真弓(北條サン役)が担当。アニメーション、実写映画、演劇、外画吹替えなどジャンルを問わずその人物の人間性を表現できる実力派が集められた。さらに松竹新喜劇の座長・澁谷天外も特別出演している。
本作の音楽はコトリンゴが担当。ナチュラルで柔らかい歌声と曲想が、すずさんの世界を優しく包みこむ。
原作は挑戦するマンガ家・こうの史代。
原作はこうの史代が描いたマンガ『この世界の片隅に』(双葉社刊)。「漫画アクション」連載時から注目を浴び、第13回メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。また「THE BEST MANGA2010 このマンガを読め!」第1位、「ダ・カーポ特別編集 最高の本!2010」マンガ部門第1位も獲得。
絵柄はシンプルでたおやか、登場人物もユーモラスで親しみやすいため入りやすいマンガであるが、実は綿密な下調べに裏打ちされた膨大な情報と、マンガ表現へのあくなき挑戦がさりげなく織り込まれている。例えば物語の内容とリンクさせ、実際に口紅を使って描いたページがあったりする。こうした挑戦的な創作姿勢と完成度の高い作品は、目の肥えたマンガ読者、プロの書店員、各界の表現者たちから熱い支持を得ている。本作以前に戦争(被爆)を描いた『夕凪の街 桜の国』は第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞と第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した。
リアルの追求で世界を息づかせる片渕須直監督作品
監督としてクリエイティブの指揮を執るのは片渕須直。前作となる『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)は観客の胸に深く刺さり、観客たちの声に後押しされる形でレイトショー上映、特集上映、野外上映会などが次々と企画され、異例の断続的ロングラン上映を達成した奇跡的な作品。観客をよほど深く感動させぬ限り、このような事象は起こらなかった。第14回文化庁メディア芸術祭では優秀賞も受賞した。この作品でも徹底した資料探求、現地調査を行い、舞台となる1955(昭和30)年とさらに1,000年前の山口県防府市の姿を丹念に描き出した。
その片渕がマンガ『この世界の片隅に』に出逢い、これこそ自分が映像化すべき作品と思い定める。ぼろぼろになるまで原作本を読み返し、集められるだけの資料をさぐり、現地に何度も足を運び、当時を知る方の話をうかがった。そこで得た確信をもって、丁寧にダイナミックにすずさんの生きた世界を色鮮やかに描き出す。観客は、作品に描かれているのは、今の私たちの毎日に連なる世界であることを強く実感することになるだろう。
「この映画が見たい」の声が100年先に伝えたい 珠玉のアニメーションを生んだ。
本作は、作品の製作決定の前にクラウドファンディングによる支援者募集を敢行。日本全国から「この映画が見たい」という圧倒的な支持をいただき、制作が本格的に始まった。
観れば胸を突かれ、心揺さぶられ、涙をこぼす。だが涙の後は晴れやかな気分で、今日を、明日を生きる喜びをかみしめる。そして嬉しいとき、悲しいとき、辛いとき、様々な場面で何度となく観られ続け、そのたびに心の奥底を熱くする。『この世界の片隅に』は、そのように長く、深く、多くの人の心に火を灯し続ける珠玉のアニメーション映画として完成した。
STORY
18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。
良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。
夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。
配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。
ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。
1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。
配給
東京テアトル