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【ショート動画Vol.3】「合理的配慮」なんて自分には関係ない?の巻

2024年4月1日「障害者差別解消法」の改正により、合理的配慮の提供が義務となりました。 「合理的配慮」ってどんなものなの?文化芸術分野では、どのように「合理的配慮」を行えば良いの?そういった疑問にお答えするため、UDCastでは文化芸術分野の「合理的配慮」の事例を集めて動画を作成しました! https://youtube.com/shorts/yKvsUIEuYus?si=kOlJsXtoxbmi-Ngb Vol.2の動画で、「合理的配慮」はその人の特性や状況に合わせてサポートを変化させるもの、と説明してくれたユーディくん。ですが、小さな劇団や非営利の上映会など、特別に対応できる余裕なんてない事業者の方も多いかと思います。こんな時、どうすればよいのでしょうか? 「合理的配慮」の提供にあたっては「負担が過重にならない範囲での必要かつ合理的な対応」をもとめられています。「負担が過重にならない範囲」とあるように、できる範囲でやれることからはじめることを心がけましょう! 例えば、はじめの一歩として・問い合わせ窓口を電話やメールなど多様な方法で用意する・演劇やコンサートの場内アナウンスをテキストで用意する・情報保障として、台本貸し出しをするなどの対応を検討してみるのはいかがでしょうか? 大掛かりなサポートはできないと諦めてしまうのではなく、相手のことを考えて可能な限り歩み寄れると素敵ですね。 UDCastでは、改正障害者差別解消法の施行に伴い、『「合理的配慮」のスタートBOOK』を作成しました。『合理的配慮』のスタートBOOKとは、「アート&カルチャーは、みんなのものだよ!」をキャッチコピーとし、「合理的配慮」および「建設的対話」の基本的な考え方を伝えるためのパンフレットです。2024年4月1日「障害者差別解消法」の改正により、民間事業者の合理的配慮の提供が義務となりました。文化芸術の場面で行う「合理的配慮」とはどのようなものなのか、このスタートBOOKを通じて多くの方に知っていただきたいと考えています。以下のサイトよりダウンロードできますので、ぜひ手に取ってみてください! 「合理的配慮」のスタートBOOK

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「合理的配慮」って何だろう? みんなと考えるコラム記事

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誰もが同じように文化芸術を楽しめる社会を―DPI日本会議・佐藤事務局長インタビュー

UDCastで作成した『「合理的配慮」のスタートBOOK』では、国内の障害当事者団体であるDPI日本会議(以下DPI) 佐藤聡(さとう・さとし)事務局長に監修いただきました。今回は、その佐藤事務局長にお話をうかがいました! 自身も車いすユーザー。コンサートで不満を感じた思い出も。 本日はよろしくお願いいたします! DPIの事務局長を務めている、佐藤聡です。もともとDPI加盟団体のメインストリーム協会(自立生活センター※)で働いており、DPIと一緒に活動していたことからDPIのスタッフになりました。 ※障害のある当事者が中心になって運営する、障害をもつ人たちの自立を支援する組織。 この度は『「合理的配慮」のスタートBOOK』の監修ありがとうございました。文化芸術領域での合理的配慮についての冊子でしたが、コンサートやお芝居を見ることはありますか? 音楽が大好きで、若いころはコンサートやライブに毎週のように行っていました。私は車いすユーザーなので車いす席等でライブを見るのですが、いつも不満を持っていました。特にライブでは客が立ち上がる時があるので、一番盛り上がっているときに自分だけステージが見えなくなり疎外感を感じていました。一緒に行った健常者の友人は「いいコンサートだったね」と言うのですが、私は心の中で「自分は見えなくてつまらなかった」と思っていました。 当事者の意見を行政にお伝えして、当事者の権利を獲得する仕事 まずは、「DPI日本会議」についておうかがいさせてください。 DPI(Disabled People International)とは、1981年にシンガポールで生まれた国際的な障害当事者の団体です。日本国内の組織は「DPI日本会議」といい、1986年にできました。スタッフは8名くらいのちいさな団体ですが、加盟してくださった全国の障害者団体89団体と一緒に活動しています。 多くの障害当事者の方と関わりのある団体であることがよくわかりました。具体的にどのような活動をしているのでしょうか。 ・障害当事者の声にもとづいて活動すること・障害の種別を超えて活動すること・障害者の権利の獲得のために運動することの3つを柱として活動しています。障害者への直接支援は行っていませんが、国会議員や中央省庁のみなさんに法制度の拡充を働きかけることが主な活動です。 参議院調査会の参考人として出席する佐藤事務局長 89もの団体がDPIに加盟しているとうかがいました。加盟団体とはどのようにかかわっているのでしょうか? 加盟団体から当事者の意見を集め、国に届けています。障害者差別解消法が2021年に改正された際は、500件ほど差別事例を集め、それをもとに意見書を作成しました。その意見書をもとに基本方針や中央省庁の対応要領・対応指針の改訂を働きかけました。 また、先日はJR九州の特急列車「ソニック号」の車いす席が非常に狭いというご意見を大分の当事者団体から寄せていただきました。ソニックは2022年に改定された新基準を満たしていなかったため、車両改修を前倒しするよう、国交省や国会議員とやり取りをしました。 活動を通して気付いたことなどありますか? 障害に関する問題に興味関心のある国会議員が各政党にいらっしゃいますし、中央省庁のみなさんも国民の暮らしをよりよくしたいという想いをもっています。多くの人が障害者の権利について前向きに考え、動いてくださっていることに活動を通して気付き、とても良い国だなと感じました。 しかしながら、活動の過程で、「日本に障害者差別はない」と本気で考えている人に出会うこともありました。私たち障害者は日常的に差別にあいますから、日本に障害者差別があることはよくわかっていますが、障害のない人はその場面を見ていません。だから「日本に障害者差別はない」と考えているのだと気づきました。 そういった方に、実際の差別事例をもとに説明すると、よく理解してくださいました。こういった経験から、加盟団体から実際の事例を集めて、日本の課題を説明することが大事だと感じました。 加盟団体からのご意見をまとめた要望書を提出している様子 インクルーシブな社会を実現するために必要な「環境整備」と「合理的配慮の提供」 2021年の障害者差別解消法の改正により、事業者に「合理的配慮の提供」が義務化されました。合理的配慮だけでなく、バリアフリーやインクルージョンといった言葉もよく聞くため混乱しそうなのですが、詳しくご解説いただいてもよいでしょうか。 DPIでは、「インクルーシブ・インクルージョン」という言葉をよく使います。この言葉は、社会には様々な人がおり、必要な合理的配慮を提供しながら同じ地域・学校・職場等で共に学び育っていくという考え方です。 似たような言葉に「インテグレーション」という言葉があります。こちらは既存の社会に障害者も(健常者のようにできるなら)入っていいよ、でも合理的配慮は提供しませんよ、という考え方なので理念が異なるのです。 インクルーシブな学校運営モデル事業校である、玉村町立上陽小学校のスロープ インクルーシブな社会を実現するためには、どのようなことが必要なのでしょうか? 健常者が得ている機会を障害者にも提供することが必要です。 インクルーシブな社会とは、障害者も健常者と同じようにバスや電車に乗り、地域の学校に行き、働き、文化芸術を楽しめる社会です。そういった社会の実現を阻害しているものを「社会的障壁」と呼びます。この社会的障壁を取り除く方法は2つあり、「環境設備」と「合理的配慮の提供」です。これは、障害者権利条約によって求められている世界的な流れです。 「インクルーシブ」「社会的障壁」「環境整備」「合理的配慮の提供」、難しい言葉がたくさん出ましたね...... 例えば、車いすユーザーの私は階段を上がって2階に行くことができません。この階段が「社会的障壁」です。そこで、車椅子ユーザーも2階に行けるようにするためにエレベーターやスロープを作るのが「環境整備」、2階に車いすを担ぎあげたり、2階にあるものを代わりに取ってきたりするのが「合理的配慮の提供」です。 また、環境整備の中でも、障害のある人のために階段の横に新たにスロープを作るような考え方を「バリアフリー」、最初から全員が使えるように階段を作らない設計を「ユニバーサルデザイン」と呼びます。 「合理的配慮の提供」と「環境整備」は「社会的障壁」を取り除くための手段、という認識ですね。 その通りです。環境整備であらゆる問題が解決するとよいのですが、すぐにすべてを整備するのは不可能ですし、人それぞれ困りごとが異なるため完璧に対応できるわけではありません。だからこそ、合理的配慮の提供が重要になります。 文化芸術での合理的配慮の提供について 合理的配慮の提供についてよくわかりました。文化芸術の障害者の権利については、どのように考えればよいのでしょうか? 文化芸術でも、「一般の方が当たり前に享受している機会を障害者にも」という基本的な考え方は変わりません。聴覚に障害のある人には文字などで情報が伝わるようになっているか、視覚障害の人のために音声や点字で情報を伝えるものがあるかどうか、などの観点で整備を進める必要があります。 DPI主催のバリアフリー上映会の様子   DPIの活動内でも、文化芸術の障壁を取り除く活動をされているのでしょうか? コンサートホール等への車いす席の設置を義務づける基準(※)の策定に携わりました。席数はおおむね国際的な水準で、これから新築・大規模改修される劇場などは総席数の0.5%以上(400席以下は2席以上)の車いす席を設置することが義務づけられました。このような制度が整うことで、これから環境整備がよりいっそう進んでいくと思います。 ※2025年6月1日より施行。(トイレ、駐車場、劇場等の客席に関するバリアフリー基準の改正について) 出典:国土交通省 最後に、「合理的配慮」という言葉をはじめて知ったみなさんに一言お願いします! 文化芸術に親しみたいと思う気持ちは誰でもあると思いますし、どんな障害のある人でも文化芸術を楽しめるようになることは本当に大切です。「できない」で終わっていた時代は終わり、どうやったら一緒に体験できるか事業者が障害者と話し合って考える時代になりました。 障害者の話をしっかり聞いて、事業者は制約の中でできることを提案する。百点満点でなくても、代替案を提示し、どうやったら利用できるか障害者と話し合うことが大切です。まずは話を聞くところから始めていただければと思います。 佐藤さん、ありがとうございました! 佐藤さんが事務局長をつとめるDPI日本会議のWebサイトでは、日々の活動を発信しています。ぜひチェックしてみてください! DPI日本会議 Webサイト   佐藤さんにも監修いただいた「合理的配慮のスタートBOOK」はUDCastのページから無料でダウンロードができます。下のリンクからぜひご覧ください! 合理的配慮のスタートBOOK

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オープンチャットってなに?

LINE 株式会社が提供する無料のSNS サービスです。共通点がある人同士でトークや情報交換ができます。「オープンチャット」はLINE の友だちになっていなくても匿名で参加することが可能で、トークルーム内で気軽にチャットをしたり情報をキャッチできます。興味関心事や日常生活に密着した話題について、幅広い場面でコミュニケーションを楽しめます。UDCast コミュニティでは「オープンチャット」を利用して、あらゆる人が関わり合える、楽しくて真摯な場作りを目指しています。

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