『あみこ』バリアフリー版にまつわるエトセトラ
UDCast賞でバリアフリー版を制作
5月10日(土)〜5月16日(金)の間、ポレポレ東中野で「祝!『あみこ』『ナミビアの砂漠』Blu-ray同時発売記念上映会が開催されました。ポレポレ東中野と言えば、UDCastを開発・企画しているPalabraから徒歩圏内にある映画館であり、ここで当時高校生の河合優実さんが山中瑶子監督『あみこ』を観て、役者になることを決意したという女優”河合優実”誕生とも呼べるゆかりのある場所。直接、手紙を手渡して山中監督作品にいつか出たいと伝えたエピソードはファンの知るところです。
『あみこ』の話は続きます。今回、発売されたBlu-rayは日本語字幕・音声ガイド対応。これは山中瑶子監督がその年度で最も優れた新人監督を選ぶ新藤兼人賞 金賞を受賞し、副賞としてバリアフリー版を制作できるUDCast賞を得たことによります。『ナミビアの砂漠』がすでにバリアフリー化されていたため、その場合、次回作をバリアフリー版とするのが通例でした。ところが、監督から長編デビュー作「『あみこ』につけさせてもらえないか」と打診があり、バリアフリー版の制作が決定!

モニター会に参加する山中瑶子監督
制作時には、字幕・音声ガイドのモニター検討会を実施し、山中監督にもご参加いただきました。監督自身、『ナミビアの砂漠』で初めてモニターさんとこだわって検討し、作れたことがとても楽しかったようで、今後の作品には必ずつけようと決めていたそうです。しかし、こんなに早く実現に漕ぎつけるとは!タイミングよく捉えた白球が放物線を描き、フェンスを飛び越えて声援を送るファンに届いたと言えばいいのでしょうか。そのときの様子はレポートとして残しています。
『あみこ』『ナミビアの砂漠』Blu-ray同時発売!
5月10日の初日舞台挨拶の上映後トークでは、山中監督が『あみこ』の字幕・音声ガイドのモニター検討会について発言される場面もありました。「自分が尖っていた頃の作品『あみこ』をしばらく見返すことができない時間が続いたけど、バリアフリー版の制作が作品を客観視できる機会になった」
その言葉を聞いて、時を経た今が『あみこ』のバリアフリー版のタイミングだったのかも?『あみこ』『ナミビアの砂漠』は双子のような関係で、同時発売も必然だったのかなと想像が膨らみます。そんな二作品、現在Blu-layが絶賛発売中です(2025.5.9 on release)

あみこ ポスタービジュアル ©2017 Yoko Yamanaka
『あみこ』の封入特典として、河合優実さんの寄稿、『ナミビアの砂漠』の音声特典として、オーディオコメンタリー(山中瑶子監督×河合優実×金子大地×寛一郎)がございます。サブスクも便利でいいけど、フィジカルに残るモノもいい。ぜひ作品を心と手元に残してみてはいかがでしょうか。
シネマ・チュプキ・タバタの不定期連載【チュプキのひと押し】
最後に、4月からnoteで始まったシネマ・チュプキ・タバタの新しいコーナーをご紹介します。その名も【チュプキのひと押し】。上映作品をもうちょっと具体的に紹介したい、推したい、観るか迷ってる方の背中をちょいと押したい。そんな気持ちから不定期連載しているオリジナル企画です。日本初のユニバーサル上映専門館として、これまでもUDCast対応作品をたくさん上映していただいております。
その記念すべき第1回目に『あみこ』が選ばれています。それだけ推しの一本ということですね!以降もスタッフの推しの作品が軽妙な語り口で紹介され、読むとどうしてか映画を観たくなってしまう気分に。【チュプキのひと押し】があなたを映画館に誘います。「えっ、ほんとに?」と思った方、ぜひチェックしてみてください。そしてビビッと来たらいざチュプキへ!
シネマ・チュプキ・タバタは水曜定休。JR山手線・京浜東北線「田端駅」徒歩7分、商店街の中にある全20席の小さな映画館です。座席はご予約の方優先となるため、事前予約をおすすめします(ネット予約のほか、お電話・FAXの受付可)。また、すべての映画に「日本語字幕」「イヤホン音声ガイド」がございます。上映作品等、詳細については劇場HPでご確認ください。