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【劇団唐組】上演中の鑑賞サポートが反響呼ぶ 聞こえにくい観客へタブレット台本の貸出し

舞台ファンからの要望がきっかけに。聞こえにくい観客へタブレット台本を貸出し

今回ご紹介するのは、劇団唐組の舞台公演での「タブレット台本」サポート実例です。

耳が聞こえづらいという舞台ファンの方からのご要望をきっかけに、唐組さんからUDCast相談窓口に鑑賞サポートのご相談をいただきました。

劇団に届いたご要望:
「字幕付きで唐組の公演を観たい。公演日が近いので実際の対応は難しいかもしれないが、可能なら上演中に台本を読むことができるよう対応をお願いしたい。」

私たち相談窓口からは「タブレット台本」をご提案し、導入までの支援を行いました。

タブレット台本は、タブレット端末に台本データを入れ、端末上で台本を見られるようにしたもので、客電(客席頭上の電気)が落ちた場内でも台本による情報保障を得ることができます。
今回は劇団から紙台本をご提供いただき、適切なデータ形式に落とし込み、タブレット端末に入れてご提供しました。

■タブレット台本が導入された公演
第69回公演『改訂の巻 秘密の花園』
日程:2022年10月8日〜11月6日 会場:雑司ヶ谷・鬼子母神

2023年唐組若手公演・第70回公演『赤い靴』
日程:2023年2月1日~5日 会場:下北沢・駅前劇場

上演中のタブレット使用で課題に上がる「画面の明るさ」

タブレット端末を劇場で使用する際に、課題に上がるのが「画面の明るさ」です。
周囲への明かり漏れだけでなく、画面が明るいと顔が照らされるので、舞台側からもよく見えてしまうのです。

そしてこちらがタブレット台本です。記事掲載用に画面を明るくしました。


 
こちらが実際に会場で使用されたタブレット端末の様子です。
一見すると画面OFFした状態に見えますが・・・


近付くと台本の字がうっすらと見えます!


正面からでないと画面すら見えません。

今回は、UDCastが映画館にも提供している特殊加工フィルム付きのタブレットをお持ちしました。照明の暗転が効くほどに画面が暗く、周囲に明かり漏れすることもありません。
画面が明るいと客席後方でのタブレット利用を検討されることもあるかと思いますが、この明るさなら、ご自身の購入された座席でそのままご使用いただけます。
(もちろん、タブレットでの台本貸出は個人でお持ちの端末や市販のフィルムでも実施できます!)

■タブレット台本のメリット

  • 上演中も読むことができる
  • 好きな席で観劇できる(暗転対応しているタブレットであれば)
  • 台本を印刷して人数分用意する必要がない
  • 台本データさえあればできる

実施の際は、白黒の反転や、フォントの大きさ・段組みなど見易さの面にも気を付けましょう!

タブレット観劇を導入できたことは唐組としても画期的

サポート実施後、唐組さんから「本当にやって良かった」とご感想いただき、私たち相談窓口も非常に安堵しました。

あの唐十郎さんの老舗劇団でどのように受け入れていただけるかという思いもありましたが、劇団内でも好評で、周囲の関係者の方々からの反響も大きく、聴覚の当事者のみなさま含め、これまでに無かった観客層から反響をいただけたことが劇団にとって新しく、また嬉しいことだったと伺いました。

唐組さんに下記のようにご感想をいただきました。

劇団唐組: UDCastさんがサポートに入ってくださったことでタブレット機器など、当劇団では費用的に難しいところをサポートしていただき本当に感謝しております。
唐十郎の劇世界を1人でも多くの方に届けたい。
そして唐が発明した紅テントで体験してほしいという想いがありましたが、台本貸出でとまっておりました。
タブレット観劇が導入できたことは私たちとしては画期的でしたし、今後字幕対応というものが私たちの劇表現でどのくらい可能なのか模索していきたいと思います。

ご利用された方からは、下記のようにご感想をいただきました。

利用者: ずっと憧れていた唐組さんの世界を観て感じることができ、感動しました。
今回は観劇日が近いことから台本タブレットを要望させていただきましたが、これからも鑑賞サポートが進化していくこと、そして障害の有無に関わらず多くの人が舞台芸術の素晴らしさを感じることができる機会が増えていくことを願っています。ありがとうございました。

まとめ

今回は様々にある鑑賞サポートの中で、「タブレット台本」の実施を支援しました。
画面の明るさに不安を感じる声をお聞きしますが、それも画像のように、解決できる問題かと思います。
まだ新しい試みではありますが、「タブレット台本」は手軽に始められる上演中の鑑賞サポート方法の一つです。
機種によって仕様の違いはあるかと思いますが、まずはお手持ちのタブレットでぜひお試しください。

バリアフリーコンサル事例」では、事業者の方へのサポート事例をご紹介しています。ぜひ活動のご参考にしてください。お困りのことがあればご相談をお寄せください。

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劇団唐組 プロフィール

「紅テント」を引っ提げて、唐十郎の劇世界を追求し、世に問い続ける劇団。
劇団員はテント建てから始まり、役者と裏方の区別なく、舞台にまつわる全てを手懸ける。
唐十郎の誕生日である2月11日には、毎年入団試験が行われ、新たな「特権的肉体」の発掘が続けられている。
唐十郎から与えられ、培われた「存在」の探求を、久保井研をはじめとする劇団員が、
門をくぐる者たちへ伝承して行く。

―情熱あるものは、門をたたけ―
https://karagumi.or.jp

記事を書いた人

編集:細貝由衣 Palabra株式会社大阪オフィス/相談員
UDCastサポートセンター「文化芸術全般の鑑賞サポート相談窓口」の大阪オフィス担当。ART COMPLEXでSTUDIO PARTITA立ち上げに携わる。ほか、アーティスト・イン・レジデンスや市民協型働事業などを担当。大阪の認定NPOにてファンドレイジング・PRを担当したのちに2022年よりPalabraに入社。

 


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